dominagames

あなたの一撃がシャンヌイを捉える。彼女は血煙を吹いて消失した。
煙が晴れると、あなたは洋館と思しき回廊にいる。
件の少女ももういない。
「思い出に刺されないようまっすぐ歩いて、睡蓮の絵を見たら右に曲がれ」
また声がした。知らない女性の声だ。
状況が見えぬまま言葉に従うと、曲がり角の先にその女性は立っていた。
剣を持っているがシャンヌイではない。
白銀の髪をたたえ、白い服に身を包み、通路の真ん中でまっすぐ物怖じせずあなたを見ている。
あなたは彼女を知っている。
クレミエール。剣のすべてを開いたはじまりの魔女。
あなたたちに剣使いとしての戦い方を授けた第一人者である存在だ。
彼女はあなたに向かって、しかし辛辣な言葉をかけてきた。
「きみは呪われている。蝕まれていると言ってもいい」
困惑するあなたに説明が続く。
「悪い……と断じれば独善的だけど、害のある物語にきみは囚われている。
 北風と太陽を並べるような二者択一に心当たりはない?
 安寧にまどろむ類型のお話が、きみを緩慢な死へと誘い込んでいる。
 しっかりと生きたいなら戦って。
 迷ったらいつも強い方を選んで。
 きみがこの状況連鎖を乗り越えるまでは、わたしも傍らにいruかラ……」
認識が乱れる。
クレミエールは霞がかって空に溶け、回廊もまた崩れてゆく。
さて、何を信じたものだろうか。
あなたは道なき道を歩き、次のイデアと出会うのを待つ。

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